なかなか寝つけないのはなぜ?原因と改善策とは?

「ベッドに入ってもなかなか寝つけない」、「夜中や早朝に目が覚めてしまう」など、睡眠に関する悩みは数多く存在します。これらは「睡眠障害」と呼ばれ、さまざまな現象に分類されるのが特徴です。今回はタイプ別の睡眠障害の概要と改善方法を紹介します。

「ベッドに入ってもなかなか寝つけない」、「夜中や早朝に目が覚めてしまう」など、睡眠に関する悩みは数多く存在します。これらは「睡眠障害」と呼ばれ、さまざまな現象に分類されるのが特徴です。今回はタイプ別の睡眠障害の概要と改善方法を紹介します。

睡眠障害とはどんな現象を指すのか

睡眠になんらか問題が発生している状態は、「睡眠障害」と総称されます。この睡眠障害は、「不眠症」「過眠」、「睡眠時随伴症」などに分けられるのが特徴です。以下では、これらの睡眠障害で現れる現象について、順番に解説します。

||||不眠症

症状 詳細
入眠障害 寝付きが悪い
中途覚醒 眠りが浅く途中で何度も起きてしまう
早朝覚醒 早朝に目が覚めてしまいそれ以降眠れなくなる
熟眠障害 ある程度の時間寝ているのにも関わらずぐっすり寝たという感じが得られない

参照:不眠症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)


不眠症は睡眠障害の中でも認知度が高く、「名前を知っている」という方も少なくないでしょう。この不眠症は、図のように「入眠障害」、「中途覚醒」、「早朝覚醒」、「熟眠障害」の4つに分類されます。

入眠障害

入眠障害は眠りにつくのに時間かかり、寝つきの悪い状態を指す現象です。心身が緊張していたり、強い不安を持っていたりする際にしばしば見られます。

中途覚醒

中途覚醒は、眠りが浅く夜中に何度も目が覚めてしまう現象です。人によっては「中途覚醒した後、さらに寝つきが悪くなる」という場合もあります。加齢とともに、中途覚醒が増えるというケースもしばしばです。

早朝覚醒

早期覚醒は、起床予定時間の前に目が覚めてしまい、それ以後眠れなくなる現象です。眠り足りないと思っているにもかかわらず寝つけなくなるため、大きなストレスを抱えてしまうこともあります。

熟眠障害

熟眠障害は、睡眠時間には問題ないのに「ぐっすり眠った」という熟眠感が得られない現象のことです。これは、睡眠中に呼吸が一定時間止まって睡眠に悪影響が及ぶ「睡眠時無呼吸症候群」や、睡眠中に足がぴくぴくと動く「周期性四肢運動障害」などの現象が関係しているケースもあります。

これら不眠症の詳しい内容については、先に挙げたe-ヘルスネット(厚生労働省)のオフィシャルサイトをご参照ください。以下では、過眠と睡眠時随伴症について紹介します。

||||過眠

過眠とは、日中に病的な眠気が現れる睡眠障害です。十分な睡眠時間を確保しても、眠気が表れるという特徴があります。日常生活に支障をきたすほどの眠気であるため、事故を起こしたり本人の意思に反して社会的な立場が悪くなったりなどの問題を引き起こすケースもあります。本人の努力にかかわらず病的な眠気が現れるため、患者さん自身が強い罪悪感やストレスを抱えやすいのも特徴です。

||||睡眠時随伴症

「睡眠時随伴症」とは、睡眠中の寝ぼけ行為全般を指します。睡眠時随伴症の中でも、とくに有名なのが「夢遊病」と呼ばれる現象です。これらは寝ぼけながら動き回る現象であるため、ケガや事故に繋がる恐れがあります。そのほか、小児期に現れやすい「夜尿症」や、強い力で歯を食いしばったり音を立てたりする「歯ぎしり」も睡眠時随伴症の一種です。いずれも、患者さん本人の睡眠に悪影響なだけでなく、家族にとっても悩ましい現象だと言えるでしょう。

寝付きの悪さを改善しやすくする方法とは

先に挙げた睡眠障害に関しては、睡眠障害を専門に扱うクリニックでの治療をおすすめします。以下では、上記の病気に該当しない「寝つきを改善」について、詳しく解説します。すぐに取り入れられそうなものを中心に紹介しているので、ご自身の現象に合ったポイントを取り入れてみてください。

||||朝はできるだけ日光を浴びる

「夜によく眠れない」という悩みを抱えている方であれば、朝に日光をできるだけ浴びましょう。こうすることで、身体に眠気をもたらすホルモン「メラトニン」の分泌が抑制され、身体が活動するのに適した状態になります。覚醒から十数時間するとメラトニンは再び分泌されるようになり、就寝しやすくなるのもポイントです。

分かりやすく言えば、朝に日光を浴びることで「日中に活動し、夜は就寝する」という正常な生活サイクルが整えやすくなるのです。曇りや雨の日の朝でも、外の光を体内やお部屋へ取り入れることが重要となります。

||||寝る前に刺激物を食べない

唐辛子をはじめとした香辛料を食べると、身体を緊張状態にする交感神経を刺激することもあります。夕食に香辛料を多く使う激辛メニューを食べると、寝つきにくくなり睡眠の質に悪影響が及ぶこともしばしばです。寝つきを良くするためには、寝る前に刺激物を控えると良いでしょう。

||||カフェインやアルコールの摂取を控える

刺激物に加えて、就寝前にカフェインやアルコールを摂取するのは避けましょう。カフェインやアルコールの代謝によって生成される物質「アセトアルデヒド」には、覚醒作用があります。とくに注意したいのがカフェインです。カフェインはコーヒーや紅茶のほか、緑茶などの飲み物にも含まれていることがあります。コーヒーや紅茶をどうしても飲みたい場合は、カフェインの含有量が少ない「デカフェコーヒー」や、カフェイン含有量0のノンカフェインドリンクを選ぶのも手です。

||||軽い運動をする

寝つきの改善を試みる場合は、軽いウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を習慣にしましょう。運動のタイミングは、できるだけ日中や夕方に行なうと効果が期待できます。こうすることで就寝時の脳の温度が適度に低下し、寝つきやすくなります。逆に、激しすぎる運動や就寝直前の運動は睡眠を妨げる原因になりやすいため、避けるのが得策です。

||||就寝前のスマホ・PCの操作を避ける

就寝直前のスマホやPCを操作は控えるのが賢明です。スマホやPCのブルーライトが脳を刺激してしまい、寝つきが悪くなったり睡眠が浅くなったりすることもあります。どうしても必要な場合は、ブルーライトカット眼鏡を使用する、画面をナイトモードにしてブルーライトを抑制する、といった工夫が必要です。ブルーライトをカットすることで、睡眠に与える影響の軽減にも繋がります。

||||強迫観念を抱かないようにする

寝つきが悪くても、「早く寝なければ」と考えるのは避けましょう。これは、強迫観念自体が強いストレスになってしまい、ますます眠れなくなるという悪循環に陥る可能性があるためです。

加えて、十分な眠気が来ないまま無理にベッドへ入ることも避けたほうが良いでしょう。こうすることで「ベッドは眠れない場所」という無意識なイメージが生まれてしまい、ストレスがかかりやすくなってしまうこともあります。「眠くなったらベッドへ行く」ことを意識して、「ベッドは眠れない場所」というイメージをなくすことが大切です。

||||睡眠日誌をつける

睡眠日誌をつけるのも、寝つきの悪さを改善するための方法としておすすめです。睡眠日誌とは、寝床に入った時間や寝つくまでにかかった時間、途中で目が覚めた回数等睡眠にまつわる記録をつける日誌です。これらの記録をつけることで、自身の睡眠傾向を客観的に見られるようになります。
ノートに各項目を書いて記録する方法も手軽ですが、最近では睡眠日誌専用のアプリも登場しています。ご自身の使いやすいものを選びましょう。

寝室の環境を改善するのもおすすめ

寝つき悪さを改善しやすくするには、生活習慣だけでなく寝室の環境を変えることも効果が期待できます。以下では快眠を得やすくなる寝室づくりのポイントを、ご紹介します。

||||理想的な温度・湿度に調節する

快眠するためには、寝室の温度や湿度を上手く調節することが大切です。快適感を得られる温度や湿度は人によって異なりますが、エアコンや加湿器を活用して、温度や湿度をコントロールしましょう。また、窓を二重サッシにしたり、断熱シートを貼ったりするのも手です。こうすることで部屋の温度が外気の影響を受けにくくなり、快適な室温を保ちやすくなります。

||||ベッド周りのレイアウトは極力シンプルにする

寝室やベッドのレイアウトは、できるだけシンプルにしましょう。「寝室は眠るだけの場所」としてほかの部屋との扱いを分けると、生活リズムが整いやすくなるのです。寝室とほかのスペースを分けるのが難しい場合は、カラーボックスや本棚などのアイテムで仕切るのがおすすめです。これだけでも寝室とほかの部屋を区別でき、部屋ごとにメリハリがつきやすくなります。

||||部屋の明るさを考える

寝室が明るすぎると、眠気を誘発するメラトニンが上手く分泌されにくくなります。逆に暗すぎても不安感に繋がり、睡眠に悪影響が及ぶため注意が必要です。季節によってカーテンを変えたり、照明を暖色系の間接照明に変えたりすると良いでしょう。

||||入眠角度を取り入れる

快眠を得やすくするためには、横になったときの姿勢にできるだけ負担をかけないことが大切です。そこで大切なのが、快眠しやすい角度をつける「入眠角度」です。フラットな状態で寝転がると、呼吸を助ける筋肉である「横隔膜」の動きが制限されやすくなります。その結果、呼吸がしにくくなり寝苦しさを助長してしまう可能性もあるのです。しかし、角度をつけて上半身をやや起こした状態にすると横隔膜の動きが制限されにくくなります。その結果、呼吸が楽になってリラックスした状態で入眠しやすくなります。

パラマウントベッドの「Active Sleep」は、簡単に角度設定が行なえるリクライニング機能を搭載。心地良い入眠角度を追求できるのが魅力です。肺や横隔膜、その他腹部への圧迫感を軽減して、より快適な睡眠を実現しやすくなります。 Active Sleepの機能や値段、デザインについて詳しくは、 Active Sleep|どう生きるかは、どう眠るかだ。のページをご確認ください。

「睡眠負債」とは?

最後に、睡眠障害に語感が似ている「睡眠負債」という言葉について解説しましょう。現代では、従来の睡眠障害に加えて「睡眠負債」という言葉も耳にするようになってきました。2017年には、睡眠負債が流行語大賞にノミネートされたことから、「聞いたことがある」という方も少なくないでしょう。

「睡眠負債」とは、睡眠不足であるにも関わらず、その自覚が薄い状態を指します。自分の睡眠不足になかなか気づけないため睡眠が改善されず、睡眠不足による悪影響が知らず知らずのうちに蓄積することから「睡眠負債」と呼ばれているのです。睡眠負債を解消しようと、休日に寝だめをするという方もいらっしゃるでしょう。しかし、休日の寝だめは昼夜逆転や体内時計が狂う原因にもなりやすく、リスクが発生する可能性もあります。

習慣と環境を正して寝付きの悪さを改善しよう

なかなか寝つけなかったり、十分な時間の睡眠をとっても疲れが取れなかったりと、睡眠にまつわる悩みを抱える方は少なくありません。何気ない普段の習慣が寝付きの悪さの原因になっているかもしれません。ここで紹介したポイントを参考に、習慣と環境を変えて、快眠を目指してみてください。