ベッドからの起き上がり介助のポイントとは?

高齢になると「座る」「立ち上がる」「移動する」などの基本動作が行いにくくなります。高齢のご家族と暮らしている方は、これらの動作をサポートすることも多いでしょう。ここでは、正しい起き上がり介助の方法や、起き上がり介助の負担を減らす方法などをご紹介します。

高齢になると「座る」「立ち上がる」「移動する」などの基本動作が行いにくくなります。高齢のご家族と暮らしている方は、これらの動作をサポートすることも多いでしょう。特にベッドで寝たきりで過ごす高齢者の介助で多いのが、起き上がりの介助ではないでしょうか。起き上がりの介助をするとき、腕を引っ張ってしまったり、仰向けから頭と膝の裏を抱えて起こそうとしたりすると、かえって相手の身体に負担をかけてしまいます。無理な動作は、介助する側も、介助される側も体力を消耗してしまいます。お互いの負担を軽くするための正しい起き上がり介助の方法についてご紹介します。

介助するときの基本的な注意点

起き上がりの介助を行う前の注意点は、「何でも手伝い過ぎないこと」です。何でも手伝い過ぎると、本人の力でできることも、できなくなってしまいます。介助で大切なのは、介助される人の「自立」を支えることですので、本人が自身の力で行えるときは見守るようにしましょう。

まず、介助をはじめる際に行うのが「声がけ」です。介助を受ける側からすると、これから何をされるかわからないまま身体に触れられるのは不安に感じるものです。「身体を起こしましょうか」などと、行う動作を伝えた上で介助をしましょう。また、声がけをするときは、相手がちゃんと聞き取れるようはっきり、ゆっくり話すことが必要です。

高齢者の身体に触れるとき、皮膚や骨が弱くなっているため、介助の時に力を入れ過ぎると、あざになったり、骨折してしまったりすることもあります。そのため、高齢者の身体に触れるときは、手のひらや指の腹などを使って、なるべく触れる面を大きくするようにしましょう。

身体の負担を軽くする起き上がり介助方法

起き上がり介助はどうしても身体に負担がかかりますが、介助者の身体の負担を軽くしながら起き上がらせるには、どのようにすればよいのでしょうか?平らなベッドに仰向けに寝ている状態から、起き上がってベッドのふちに座るところまでの介助の方法をご紹介します。

<介助の手順>

(1)介助される方の体調を確認する

介助される方(被介助者)の身体で動かしにくい部分や、痛みなどを感じるところがあるかもしれないので、介助する方(介助者)は介助を始める前に、本人にその時の身体の調子や痛みを感じる部分がないか確認しましょう。

(2)膝を立てる

被介助者には、ベッドに仰向けに寝た状態で腕を胸の前で組んでもらい、膝を曲げてもらいます。

(3)横向きにする

介助者は、被介助者に起き上がってもらう側のベッドサイドに立ちます。その後、被介助者の肩と膝に手をあてて、起き上がる方向に引き寄せ、被介助者を横向きにします。

(4)両足をベッドから下す

介助者は、被介助者の身体を寝かせたまま、膝がベッドの外に出るようにして両足をベッドから下します。下すと足の重みで上半身を起こしやすくなります。

(5)身体を手前に引いて起こす

介助者は、片方の腕を被介助者の首の下から差し入れ、肩甲骨を支えて、被介助者の身体を手前に引き寄せながら起こします。この時、被介助者には頭を少し前に傾けてもらうと、介助者の肘の内側に頭があたるので、腕で頭を支えながら起こすことができます。

(6)身体を安定させる

身体を起こしたら、転倒することがないよう、両手で身体を支えて少し様子を見ます。

身体を寝かせるときの介助

ベッドの端に座った状態から身体を寝かせるときは、まず被介助者を寝かせる方向の首から肩甲骨へ腕を回して支えます。介助者から向かって左側に枕を置いている場合は、左手を被介助者の肩甲骨に回して、右手を被介助者の膝の後ろに入れてから足を持ち上げます。お尻はベッドに接したまま、頭がベッドの上に来るように身体をくるりと回してベッドの上に足をのせます。その後、頭をゆっくりと枕の上にのせて、足も伸ばして仰向けの状態にします。

起き上がりは日常的によく行う動作ですので、介助も頻繁に必要になります。介助者にとっては腰痛などの原因にならないか、ちょっと心配になりますよね。そのようなとき、お使いのベッドに「背上げ機能」があれば、介助する側も体力的な負担が大幅に減るので大変助かります。

起き上がりに役立つ介護ベッドの機能

一人で起き上がるのが難しい高齢者の方が使うベッドには、「介護ベッド」があります。介護ベッドには、スムーズな起き上がりができる機能の一つとして「背上げ」があります。背上げがあることで、上半身を楽に起こすことができ、リラックスした姿勢でくつろげます。背上げはベッド内に「モーター」が搭載されていることで機能しますが、このモーターの数によって、背上げ以外にも、介護をサポートしてくれる様々な機能が付いてきます。モーター数の違いによって、機能にどのような違いがあるのか紹介します。


|||1モーターの介護ベッド

1モーターの介護ベッドは、「背上げ機能」があるか、「高さ調節機能」があるかのどちらかです。「背上げ機能」があると筋力が弱っている方でも起き上がりが楽に行えます。「高さ調節機能」があると、介助者の方が楽な姿勢で介助が行えますし、介助までは必要なく自身で立ち上がれる方の補助にもなります。


|||1+1モーターの介護ベッド

「1+1モーター」は「背上げ機能」と「膝上げ機能」が付いたベッドです。「1+1だから2モーターのことでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。「2モーター」は、1モーター「背上げ機能」、1モーターで「高さ調節機能」があるベッドのことを表し、「1+1モーター」は、「背上げ機能」と「膝上げ機能」があることを表しています。表現を変えることで、この2つを区別しているのです。「1+1モーター」は「背上げ機能」と「膝上げ機能」を連動させて同時に使うことで、起き上がりのときの身体のずれを防ぐことができます。


|||2モーターの介護ベッド

介護ベッドの「2モーター」は、「背上げ機能」と「高さ調節機能」があります。ベッドから立ち上がりやすいのは、被介助者がベッドに座ったときに下腿高(床から太ももまでの高さ)よりも少し上げた高さです。高さ調節機能があれば、身体を起こした後に立ち上がりやすい高さに調節できるので、介助を受けずに自身で起き上がりから立ち上がりまでを行うリハビリができます。


|||3モーターの介護ベッド

「3モーター」は、「背上げ機能」「膝上げ機能」「高さ調節機能」が備わっており、それぞれの動きを個別に調整できます。自分では寝返りをうったり、起き上がったり、座ったりすることができずに、1日のほとんどをベッドで過ごす方に対して、取りたい姿勢や動きを実現する助けになります。
また、介助者にとってもこれらの機能を利用すれば、身体にかかる負担を軽減できます。

起き上がりの介助を必要とする方には、介助なしでは動けない方から、途中までは自分でできるものの、最後の部分だけは介助が必要になるという方もいらっしゃいます。介助が必要な方の場合は、起き上がり介助の方法を参考になさってみてください。また、ご自身で途中までは起き上がれる方は、身体は動かさないとますます機能が低下してしまうので、ベッドの機能やベッドサイドに取り付けられる手すりなどを利用し、起き上がりやすい環境を整えてみてはいかがでしょう。

パラマウントベッドのインタイム 1000では、ご自身での起き上がりや起き上がりの介助に役立つ介護ベッドを「1+1モーター」「2モーター」「3モーター」から選ぶことができます。詳しくはこちらのリクライニング付き電動ベッド インタイム 1000をご覧ください。

また、パラマウントベッドのインタイム 1000には、起き上がりの時につかまることができるベッド用の手すり「サイドグリップ」や、立ち上がりや車椅子への乗り降りの時につかまることができる「介助バー」を取り付けることができます。詳しくはこちらのページをご覧ください。
サイドグリップ
介助バー