介護ベッドには、一般のベッドとは違って利用する人の身体の負担を補助する機能がありますが、介護ベッドに使うシーツやベッドパッドにも、介護を受ける人が使いやすい機能が備わっています。ここでは、介護ベッドのシーツやベッドパッドの役割や種類、選び方のポイントを詳しくご紹介いたします。
介護ベッドのシーツやベッドパッドの役割
介護の現場で使われるシーツやベッドパット。どのような役割があるのかご存知でしょうか。シーツとベッドパッドの役割についてご紹介します。
||||シーツの役割
シーツはマットレスを汚れから防ぐため、マットレスをくるんで保護するものです。介護ベッドに使うシーツだと、防水になっているシーツが多く、失禁でマットレスが汚れるのを防ぎます。防水シーツのメリットは次のとおりです。
洗濯回数が少なくて済む
介護防水シーツは、介護防水シーツで直に寝ているのであれば週1回、通常のシーツの上に介護防水シーツを置いている場合は2週間に1回のペースの洗濯で問題ありません。通常のシーツだとマットレスまで湿ってしまい、日中で乾かないということもありえますが、防水シーツなら洗濯の回数が少なくて済むので、介護者の負担軽減になります。漂白剤や柔軟剤は性能を落としてしまうので使用はおすすめできません。
ダニ対策
汚れ以外にも気になるのがダニです。刺されるとかゆみや赤い腫れが出ることもあり、特に気になります。介護防水シーツは、マットレスや布団に湿気がこもるのを防いで、ダニの繁殖を抑制しやすくなるのです。
||||ベッドパッドの役割
ベッドパッドとはマットレスの上に敷いて使用するものです。通常はシーツを上にかぶせるため、肌に触れることはありません。在宅ケアではベッドが動いてもずれにくい固定用ゴムバンド付きのベッドパッドがおすすめです。ベッドパッドの役割は主に2つあります。
マットレスの汚れを防ぐ
人は睡眠中にコップ1杯の汗をかくといわれています。保護するものがないとマットレスは汗や皮脂で汚れがちです。汚れがつかないようにカバーやシーツで保護しますが、汗による湿気は残ってしまいます。布団なら天日に干すことができますが、マットレスだとそうはいきません。ベッドパッドなら汗も吸収してくれるので、マットレスを汚れから防げます。天日にも干せますし、洗濯機でも洗えるので、清潔に保ちやすくなります。さらにマットレスのヘタリも軽減しやすくなります。
寝心地を調整する
マットレスの硬さは硬いものもあれば柔らかいものもありさまざまです。寝心地が悪いと感じたら、マットレスを変えるのではなくベッドパッドで調整ができます。マットレスが合わないと、体にムダな力がかかり、快眠できません。ベッドパッドを変えるだけなら、マットレスより安価で寝心地を改善できます。
介護ベッドのシーツやベッドパッドの種類
介護ベッドのシーツやベッドパッドにはさまざまな種類があります。どのような種類があるのか紹介します。
||||シーツの種類
ボックスシーツ
ホテルのベッドにも使用されているマットレス全体を覆うタイプです。マットレスの前面と側面の汚れを防ぐことができ、清潔感を保ちやすいのがメリットです。ヨレにくいので床ずれの防止にも向いています。ただし、マットレスの大きさによっては、上手く覆えないということがあるので、マットレスのサイズに合ったシーツを使用するようにしてください。
前面タイプ
マットレスの前面をカバーするタイプです。激しい動きがあってもずれないようにシーツの四隅にゴムがついていて、マットレスに引っ掛けます。お手入れはボックスシーツに比べて一面だけなので楽です。
防水シーツ
防水シーツは文字通り水分がしみ込まないようになっているシーツです。表生地にポリエステルがコーティングまたはラミネート加工がされています。表生地で吸水し、その裏で防水する仕組みです。そのため、表面はサラッとしています。コーティング加工とラミネート加工の2種類があり、耐久性・浸透性・伸縮性・生地の薄さはラミネート加工が優れていますが、価格はやや高めです。
部分防水タイプ
腰回りの部分を保護するように防水加工されたシーツです。病院や介護施設で見られる形状で、横に細長い形状をしており、マットレスの下に入れて使用します。ベッド上の動きが少ない方やおむつと併用されている方に向いているタイプです。また、生地の面積が少ないためシーツ交換や洗濯がしやすいので、介護者の負担軽減につながります。
吸水速乾ボックスシーツ
||||ベッドパッドの種類
ベッドパッドの中綿に使われる素材によって特徴があります。
通気性の高いベッドパッド
麻のベッドパットは吸湿性と発散性に優れているため、湿度が保たれて蒸れにくいという特徴を持っています。しかし、ゴワゴワとした質感が馴染めない方もいます。
保温性のあるベッドパッド
羊毛(ウール)は吸湿性や保温性が高く、通気性にも優れた素材で1年中使えます。ふんわりとした肌触りで、寝心地が良いので快適に眠れます。
防水性のあるベッドパッド
介護で失禁が気になる場合は、ポリエステルがおすすめです。防水性や撥水性が高く、汚れを防いでくれます。さらに乾きが早く、丈夫なので繰り返し使いやすい素材です。ただし、ポリエステルは吸水性が低く蒸れやすいのがデメリットです。蒸れるのが気になるようであれば、綿との混合素材を選ぶと軽減されます。
介護ベッドのシーツやベッドパッドの選び方のポイント
手入れを簡単に済ませたいなら、丸洗いできるタイプや防水加工されているタイプがおすすめです。
||||水洗いできる
素材によって水洗いできるものとできないものがあります。ベッドパッドで中綿がウールの場合、ドライクリーニングが必要ですが、中には水洗いできるものもありますので、洗濯表示を確認してください。洗濯機や手洗いのマークがあれば水洗いができます。化学繊維のポリエステルやナイロンはお手入れしやすく乾きやすいので、清潔に保てます。実際に水洗いできるパッドをお探しの方はこちらのウォッシャブルパッドをご覧ください。
||||肌触りがいい
直接肌に触れるパッドはタオルのように肌触りが良いコットンパイル生地がおすすめです。透湿性と吸水性に優れており、介護用にも向いています。コットンパイルには毛足の長いロングパイルと毛足が短めに加工されているショートパイルがありますが、ショートパイルなら肌への引っかかりも少なく、糸くずも出にくいので扱いやすいでしょう。実際にコットン性のパッドをお探しの方はこちらのコットンパッドをご覧ください。
||||防水加工がされている
水分を吸収した後、裏面でブロックするためシーツに水がをしみ込まないようになっています。ベッド上で激しく動く方や失禁の量が多い方におすすめです。また、生地によってもおすすめが変わります。通常のシーツとベッドパッドを使っていて、そこに重ねて防水シーツを使うならポリエステルでも十分です。単品で使うならコットンパイル生地の防水シーツをおすすめします。肌触りもよく吸水性が高いので介護にも使えます。防水シーツと混同しやすい撥水シーツは介護には向いていません。撥水シーツは塩化ビニル素材でコーティングされていて水をはじきますが、生地の表面にとどまってしまうため体重程度の圧力で、マットレス側に浸透してしまう恐れがあるためです。また、伸び縮みしにくいため寝心地が悪いデメリットもあります。撥水シーツは殺菌清掃がしやすいため、医療の現場で使用されています。
||||蒸れにくい・汗をしっかり吸収してくれる
防水加工されたシーツは衛生面や洗濯する手間を考えると便利ですが、安価で低品質なものだと蒸れやすいため床ずれの原因になります。介護用の防水シーツを購入するなら蒸れにくく、汗をしっかり吸い取ってくれるものを選ぶようにしてください。